2009年11月22日日曜日

向山同僚セミナーとクラス会(前編)

11月21日に池上本門寺の隣にある池上会館で行われたTOSS主催の第2回向山同僚セミナーという会へ参加してきました。小学生時代の恩師である向山洋一先生が主宰するTOSSという団体のメンバーが、我々の当時の先生の授業の再現(^_^;)に挑戦するというもの。

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何十年ぶりかにバスに乗り12時位には現場に到着。でも折角だからと池上本門寺の中をお写んぽ。最近は自転車に乗りながらの写真ばかりで落ち着いて写真を撮ってなかったこともあり、久しぶりに満足(^^)

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あちこち歩き回っているうちに、気がつけば時間ぎりぎり・・(^_^;)

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随分たくさんの現役教師の皆さんが全国から集まっておいででした。会場に到着するとまもなくセミナースタート。私を含めた教え子5名が、当時の授業や向山先生についての質疑応答をお受けするというパートから始まりました。

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進行役の先生からの質問に順番に答えていく級友の話を聞きながら、やっぱりみんな同じ思いだったんだと確信。それは一口で言うなら、先生がどれほど均一にクラス中に目と気を配っていたのかと、そのことを当時の我々はみんな感じていたということだ。

手弁当で全国から集まって来ている先生方に我々の話がどれほど役に立ったのかは判りません。記憶の中で美化されつつある部分があるとしても、5人全員が正直に話をしていたと思います。

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私が今回非常に興味深かったのは、当時の先生の授業を再現しようという試みを見た事だった。教育技術という言葉を初めて聞いた時に感じていた「教育って技術なのかという違和感」我々の中に残っている向山洋一という先生の印象がずば抜けているのは技術的に優れていたからなのか?という疑問。

今回、多くの先生方のトライアルを拝見して今までの違和感が払拭されました。

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全国の現役教師が集まっている状況の中で模擬授業を行うという事が、どれほど難しいかは想像に難くありません。そんな中で始まる模擬授業に、向山先生が途中でビシビシとアドバイスを入れていきます。

スタートして間もなく「はい、そこまで!」と言われてしまう先生もいれば、最後まで止められずに話し終える先生など様々でした。

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でも、通して拝見して感じたのは技術の違いが歴然とあるという事。それはいわゆるプレゼンテーション技術にも通じる要素です。

聴く気にさせる技術。注意を引きつける技術。達成感を与える技術。さらにその先を知りたいと思わせる技術。声の大きさ、目線、身振り手振り、演出力などなど・・

教育に対する情熱や志だけではどうにもならないこういった要素。

工夫と練習、模倣を繰り返さないと身に付かない「技術」

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私の仕事の現場でも「ロールプレイ」という営業の練習を繰り返し行います。現場で失敗しないために、練習の場で山ほど失敗しておけと言います。そして、これを繰り返す事で確かに上手くなっていきます。

なるほどTOSSとはこういう場なのか・・とやっと理解できた気がします。

最初に今回の企画をお聞きした時に、「えっ〜、向山先生のコピーをするってぇ〜?・・・そんな事に意味があるのかぁ〜?」って思っていました。

現場を見たら十分納得。それはもう一人「向山洋一」を作る儀式ではなく、こんな時、向山洋一はどう考えて、どう話すか?という考え方や目配り、気配りのポイント、表現方法などのまさに「技術」を身に付ける為の練習だということ。

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どんな世界でもまずは模倣から始める。細かな所までどんどん模倣していくうちに、いつの間にか自分の味がブレンドされていく。そして、やがてその人のオリジナルになる。技術とはそういうものだ。

1975年3月25日。
卒業式が終わった後、一旦教室に戻った我々に向山先生が語ってくれた別れの挨拶をこの日再び語ってくれました。35年経った今聴いても感動的なものだった。小学6年生にこんなふうに語りかけてくれる先生なんて、やっぱりそうそういないと思う。

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教師である事の重さを自分に問い続けながら三年間の日々を送ってきた。

俺は人間の可能性を信じた。

俺は集団の力強さを信じた。

俺は科学の素晴らしさを信じた。

だから、

君達の全ての才能を育てようとした。

君達に未来を洞察する目をつけようとした。

君達に、活動・批判・追求の大切さを教えようとした。

自分にきびしさを果すことによって、それが君達に伝わるのを信じたいと思った。

俺は憎んだ。

この非人間的なことを、心の底から憎んだ。

君達もまたそうであった。

それと斗い、それを克服するのは決して平易なことではない。

それには。一匹狼のたくましさと、野武士の如き集団が要求される。

一匹狼とは、

仲間はずれの狼をいうのではない。

必要なら、一匹でも集団全体を相手にまわせる狼をいうのだ。

とぎすまされた神経と力をもった狼をいうのだ。

野武士の如き集団とは、

バラバラの集団をいうのではない。

見かけだけの統一を拒否し、

なよなよした団結を否定し、

真に自立した人間の集団を目指す集団をいうのだ。

それなくして、

なんでこの困難な状況を克服していけよう。

それなくして、

なんで自らの生き方を切り開いていけよう。

たくましさも、やさしさも、そんな中にこそある。

君達は、

かつて、激動する時代にうまれ、

そして、激動する時代に生き、

やがて、激動する時代に死んでいく。

一人の人間もまき込まずにはいない、

歴史の流れの中でその人生を送る。

その生き方は、

人によりさまざまであろう。

だが、

いつの日か再開したとき、

たとえどのような所にその身があろうとも、

自分達の生き方をつかんでいる君達であることを願いたい。

たくましく生きている君達であることを願いたい。

それでは、

誇り高く行け!

心のスクラムをがっちり組め!

どこにいようと、

そのスクラムを離すな!

たとえ、その身がちぎれようとも・・・

一九七五年三月二十五日

            洋

六の一のものどもへ

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そして最後にこんな言葉があった。

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やがて諸君は俺を通過する。

俺のことは過去のこととなり、俺達のことは過去のこととなる。

記憶のうちから、一つ二つと消し去られ、そのほとんどの想いを消滅する。

それでいい。教育とはそういうものだ。それほど悲しく寂しいものだ。

子ダヌキども、いつか酒でも飲もう。

             向山洋一

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セミナー終了後は懇親会とクラス会。その顛末は後編にて(^^)

2 件のコメント:

1日1麺 さんのコメント...

10秒でカーン♪と鐘を鳴らされた先生が、自ら投稿してましたね。
昨晩、伺った話だったので興味深く拝見したのですが、ご本人は肯定的に捉えられているようです。
が、本当でしょうか?

何十時間もかけて考えぬいた末、緊張とともに上がった舞台で、10秒。

あっしなら恥かしさと悔しさに耐え切れずいじけてしまいます。

そんな強烈な、遠慮なしの行動こそ向山流なのかもしれません。

実はいつの日か「その体験」が活きたりするんですよね!
一番収獲があった先生なのかも?

ゆっきぃ さんのコメント...

一麺さん、本当にお世話になりました。
いや、あの状況で受けて立っただけでも立派なもんじゃないでしょうか(^_^)
少なくとも、見学だけで終わられた方よりは何倍も実になったと思いますよ。
やっぱり、やってみなくちゃ出来るようになんてなりませんから。
それに、最初から出来る人もいないわけで・・それはどこの世界でも同じじゃないでしょうか?
座学だけでは技術は身に付かないっすよ(^_^)