小学校の5年~6年に担任だったのが向山洋一という先生だった。当時のクラスの標語は「一匹狼のたくましさと、野武士の如き集団を」というものだった。先生の授業はその後の学生生活を通してみても唯一無二の型破り的なものだったが、人生においてこれほど影響を受けた人はいないといえる。
私は中学卒業と同時に引越してしまい、その後クラスの仲間とも疎遠になってしまっていたが、ある時九段会館の前を通った妹から「向山洋一先生講演会」って看板があったよと聞き、googleで「向山洋一」で検索してみて驚きました。何百冊もの著書と共に、多くの現役教師達の教育技術向上に努める東京教育技術研究所(TOSS Teacher's Organization of Skill Sharing)という団体を主宰しておられました。また産経新聞にも教育の問題点について連載していたり・・・活動に「ほんとうか?」という思いと「やっぱりな」という思いの両方を感じました。
長いこと音信不通のまま失礼していたのですが、TOSS宛にメールを出してみると、先生は私のことを覚えていてくださいました。
そんなこんなで、切れていたクラスメイトとの縁も再びつなげる事が出来たのですが、先日クラスメイトからクラス会の連絡が届きました。
なんでも大手出版社の要望で「45歳になった向山学級の教え子」という本を出版したいので、クラス会の前にヒアリングをしたいというのです。
そのクラス会が本日行われたのでした。33年の間、一度も顔を合わせていないクラスメイトと、何より恩師の向山先生に会えるということで、それは本当に楽しみに会場に向かいました。顔を見て名前が判るだろうか?逆に私のことを覚えていてくれる人はいるのだろうか?ちょっぴりそんな心配をしながら会場に到着すると・・・またまたびっくり仰天!
本日参加予定のクラスメイトの数以上の向山先生を師と仰ぐ現役教師たちが熊本、岡山、岐阜、福島・・・・それこそ全国から30~40人は集まっていたのではないかと思います。
その先生のお弟子さん達が1時間半ほどインタビューを行い、これをまとめて本にするのだといいます。お弟子さんらは、当時のわれわれの書いた作文や、日記、授業の中のエピソードなどについてきちんと把握されていて、私が忘れていたような事も知っておられたのには頭の下がる思いでした。
徐々に集まってきたクラスメイトも、顔を合わせて5秒もすると当時の面影が浮かび上がってきて当時のあだ名で呼び合うことが出来ました。不思議なもので33年もの空白は一瞬で消え去ってしまいました。
その後は先生のご馳走で居酒屋に移動し、お弟子さん達と一緒に宴会となり先生のその後の様子などをゆっくり聞くことが出来ました。
あの頃、小学生だった我々に対して先生は子供としてではなく人として扱ってくれていたのだと今日インタビューに答えながら思いました。そして我々も権威や立場でものを言わない先生に対して、敬意を持って接していたのだと気が付きました。
後にも先にも、学校の先生で向山先生以上に影響を受けたり、感銘を受けた人はいません。今日のお弟子さん達に聞くと、我々のクラスの話は伝説として語られているというのです。今世間で騒がれているようないじめなども全くありませんでしたし、みんなが一人ひとりを大切に思っていたクラスでした。当時の私はそれがたまたまそういった人間が集まったのだ位にしか思っていませんでしたが、そういった集団に仕上げていったのは向山先生だったのだとわかりました。
33年ぶりの恩師は、当時よりも体の直径が増えていらっしゃいましたが(^_^;)、お弟子さんたちが解散された後、集まった教え子たちに対して、その後の自分が、何を考えて活動してきたのかや、今の教育現場に何が足りないのか、などを当時以上に鋭いまなざしで話してくれました。
その姿を見ながら、あぁ・・このまっすぐな視線と姿勢で当時も僕らに対峙してくれていたなぁ・・と思い出しました。そのエネルギーは衰えるどころかますます大きくなっているなぁ~と感じました。
本が出版されたら出版記念パーティーでもやろうという事になり、クラス会はお開きとなりました。
7 件のコメント:
素人ながら写真技術の素晴らしさに驚きました
それに、この“ブログ”いいなァ~
とてもいい!!
向山先生や旧6-1の仲間との束の間の宴
楽しかったですし、短かったです
『また次回』という約束があることがなんかとても嬉しいですよ
どんな本が出来るのか楽しみですが
次回はもっと多くの旧友と会いたいですね
その時は又、ヨロシク!!
1日1麺さん、先日は久しぶりに会えて本当にうれしかったです。
旧友たちのその後の人生を聞いてみても、あのクラスで向山先生と過ごした2年間の重みを感じました。
振り返ると、先生と旧6-1の仲間たちにもらった宝物のような時間のおかげで今の自分があるのだとつくづく感じたクラス会でした。
来春、もっと多くの素晴らしい仲間達と再会できることを楽しみにしたいと思います。
向山です。
教え子の嬉しいブログ何度も読みました。
羽田空港に近い人情厚い町で私は新卒から
4年間素敵な父母と教え子と夢のような教師生活を過ごしました。
何十年ぶりかに会った教え子は、どの子も素敵で輝いて自分の道を歩んでいました。
教師の仕事が何十年か後にどうなったのかという本は、これまでにありませんでした。
日本の教師の一人としてその仕事の責任を取ることを思ったのです。
それに何よりも出版パーティーでまたあの素敵な教え子とお酒を飲む事ができます。
人生の喜び、これに勝るものはありません。
ゆきちゃん、ブログありがとう。
向山洋一
失礼します。
向山洋一先生の依頼で
コメントを投稿した者です。
TOSSで学んでいる教師です。
向山一門の一人です。
残念ながら当日参加することが
できませんでした。
ゆっきいさんのブログを私の
仲間が偶然みつけ、紹介してくれました。教師の仕事のすばらしさ、尊さ
向山先生と皆さんの絆の強さにただただ感動しております。
手違いで同じものが何度か投稿されたかもしれません。
TOSSに学ぶ多くの教師にゆっきぃさんのブログを読んでもらいたいと思いました。
2008年の最高のお年玉となりました。ありがとうございます。
向山先生、それに投稿頂いたお弟子さん?
まさか直接コメントを頂けるとは思ってもいませんでしたので書いた本人が一番驚いております(笑)。
先生との2年間は33年経った今も、自分の仕事の現場でフラッシュバックしてきて、様々な局面で生き続けています。
これは正直自分でも凄い事だと感じます。たった一人の教師との出会いが、その後のその人の人生に影響を与え続けるという事実。
そんな教師のもつ影響力を自覚して、向上しようと努力をする方々が、お正月のお休みなのにこれほど活動している事も、今では人の親となった私からも一言お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
突然、失礼します。
向山先生の数々の実践に救われた一教師です。
同じ時代を生きた向山学級のみなさんと自分。その違いを是非知りたいと出版が今から待ち遠しいです。
価値あるブログにお礼を言いたく、コメントしました。
ありがとうございました。
海峡様
コメントありがとうございました。
この2日間でびっくりするくらいのアクセスがありました。
> 同じ時代を生きた・・
って事は私と同年代でしょうか?
あの鮮烈な2年間の体験は当日の1時間強のインタビューで語りつくす事は出来ませんでしたが、私もどんな本が出来上がるのかを楽しみにしています。
仕事を離れた個人の趣味で始めたブログが、いくらかお役に立てたようで光栄です。
日本の未来を背負う子供たちに、よろしくお伝えくださいませ。
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